is: 2008年2月アーカイブ

医療事務の講座

筆者はかつて某社会人スクールに勤務していたことがあります。このスクールはあらゆる分野の講座を幅広く行っているところで、その中に医療事務もありました。医療事務を志す人は多いので、あらゆる講座の中でも一番受講者数が多かったことを記憶しています。
実際にやって来るのは就職を希望している人が3割程度で、残りの7割は転職希望の人です。当然ながら全受講生は女性でした。年齢的には就職希望の人の場合は学生やフリーターの人が多いので20代前半、後者の転職希望の人は20代後半~30代といった感じでしょうか。
このスクールでは週に2回の授業を半年間行います。つまり50回程度の授業ということです。カリキュラム内容を見てみると、医療事務で最も大切な診療報酬制度の仕組みやレセプトについての理解をするためにかなり時間を割きます。続いて実物のカルテやレセプトを使って診療報酬計算を実践的に行います。これは筆者もその時に初めて知ったのですが、医療事務には2つの種類があります。ひとつは歯科を除く全ての診療科目についての医療事務で、もうひとつは歯科専門の医療事務です。この両者は大きな違いがあるので、そもそも勉強する内容が違います。
考えてみれば医師と歯科医師は全く違う職業ですから、レセプトにおいてもそれは同じなのかも知れません。カルテについても歯科のカルテは口を大きく開けた状態でそこに歯が並んでいるような図に後から記入していくようになっているものでした。
さて、これらの人々が講座を修了した後の進路についてです。医療事務の求人数が多くて人手不足になってくると、当然ながら人材を求めてスクールにも求人が舞い込んできます。修了して即、医療事務への就職を希望する人に対してはこういった求人があればスクールから紹介をしてそのまま就職するということも実際にあります。その逆に求人数が少ない時期はスクールに直接求人が来ることも少ないので、その場合は受講生が各自で求人誌などを見て応募していました。
また、最近ではレセコンと言ってレセプト業務を支援するコンピューターやソフトがたくさん開発されています。これらの機器が設置されている職場も多くなってきているので、パソコンの操作やレセコンの操作方法をカリキュラムに取り入れています。実務に即していないと意味がありませんからね。
中にいるとあまりピンと来ませんが、比較的評判の良い講座だったそうで、確かに修了した人がそれなりの職業に就いていたことを考えるとそんなに高い授業料でも無かったのかも知れません。

医療事務の資格

医療事務の業務経験がなくても医療事務の業務能力を証明することが出来る資格試験。医療機関にはその資格がないと就くことが出来ない職種がたくさんあります。医師、看護師、薬剤師、臨床検査師、リハビリ技師...これらはどれも公的な資格を持っている人しか就くことが出来ませんし、そうでない人がこれらの業務を行うとモグリとなり、犯罪になってしまいます。
そんな医療機関の仕事にあって、医療事務にはこの資格を持っていないと就くことが出来ないというものはありません。あくまでも「持っていると有利になる」という意味です。
それでは医療事務の資格にはどんなものがあるのでしょうか。医師や看護師のように国家資格がないため、厚生労働省が認定しているという公的な資格と、民間の団体が認定している資格が混在しています。中には怪しげな民間団体が認定している資格もあり、それらの資格と混同がないように「マトモな資格」に絞ってお話をしたいと思います。
まずは最も有名な資格なのが「診療報酬請求事務能力認定試験」です。これは厚生労働省が認定している試験なので、公的な資格です。医療機関や診療報酬などを管轄しているのは厚生労働省なので、これはその所轄官庁が行っているという意味で信頼が高い資格です。名前が示すように、医療保険や診療報酬支払い制度に精通していることを証明となるので、医療機関が最も要求している能力を備えていることを証明できます。
次に代表的なものが「医療事務技能審査試験」という資格です。これは財団法人メディカルクラーク(日本医療教育財団)が30年以上実施している伝統ある資格です。長く続いている試験なので当然知名度も高く、持っていると有利になる資格です。
3つ目は「医療秘書技能検定」です。医療秘書全国協議会という団体が行っている民間資格です。医療秘書という言葉が名前に登場していますね。医療秘書というのは医療事務の業務に付加されるようなもので、医師の秘書に近い仕事をする業務のことを言います。医師の中でも院長や部長クラスになるとその病院での診察だけではなく外部の仕事も多くなります。そうなると一般企業の重役のように秘書として業務を管理してくれる人が必要になるのです。ですが一般の秘書と違って医療関係の知識が必要になりますから、医療秘書という仕事が生まれるわけです。
なお、上記の資格はどれも年齢や学歴の制限がほとんどありません。誰でも受けることが出来て資格を取得することが出来ます。その門戸の広さが医療事務という仕事そのものでもあるので、これも人気を押し上げる要因となっています。

医療事務に就くための勉強

医療事務は専門性が高い仕事だとお話してきました。すでに業務経験のある人は別として、そうでない人はある程度の知識を勉強しておく必要があります。そのための勉強方法とはどうすれば良いのでしょうか。
医療事務の業務について勉強できる本はたくさん売られています。書店にはその専門コーナーが設けられているところもあります。それだけ医療事務を志す人が多いということなのでしょうが、これらの本を見ても全くの初心者という人にとってはどうもピンと来ないことが多いようです。
それよりもさらに効果的なのが学校に入ることです。高校を卒業した人が入学する全日制の専門学校もありますし、社会人が仕事をしながら通えるスクールもあります。医療事務は希望者が多いので、それを専門に行っている学校もありますから、良い学校や講座を探すのはそれほど難しいことではありません。医療事務の講座に力を入れている学校と言えば、ニチイ学館やお茶の水学館などが挙げられます。特にニチイ学館は医療事務講座ではおそらくトップシェアだと思います。
全日制は全国各地のビジネス系専門学校で医療事務関係のコースを設けているので、見つけるのは非常に簡単です。ただ他のビジネス系スキルと違うのは、全日制の専門学校でやるほどの内容があるわけでもないので、おおむね1年制です。通常の専門学校が2年制であるのに対して1年で講座を修了することが出来ます。
次に通信教育という手段が考えられます。通信教育というと教材が送られてきて、問題を解いて送ったらそれに対して添削されたものが帰ってくるという仕組みになっています。最近の通信教育は実に進化していて、それらの流れをインターネットで行うことが出来ます。インターネットだとすぐに届きますから、なんと言ってもレスポンスが良く、効率良く勉強を進めることが出来ます。
添削や解説についても、動画配信機能を使っているところもあり、筆者もサンプルを少し見てみましたがとても分かりやすいものでした。これなら学校に通う時間が無くても充分同じだけの学習効果が得られるのではないでしょうか。
通信講座というと大手のユーキャンが有名ですが、ユーキャンは医療事務に特化した通信講座ではありません。医療事務を専門に行っている通信講座、例えば日本医療事務協会など、そういった専門のところのほうがやはり指導はきめが細かいようです。また医療事務業界のトップ、ニチイ学館にも通信制の医療事務講座があります。

このアーカイブについて

このページには、is2008年2月に書いたブログ記事が含まれています。

前のアーカイブはis: 2008年1月です。

次のアーカイブはis: 2008年4月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.1