医療事務の仕事内容: 2008年5月アーカイブ

経験者が語る医療事務の内容の実際

医療事務の仕事は患者さんのため、社会のため...これはよく医療事務の仕事を紹介する文言として使われています。確かに病気や怪我で困っている人をサポートする仕事に変わりはありませんから、そう言った意味では患者さんのためになる仕事です。ですが、それとは全く違う一面を持っていることをご存知でしょうか。ここでは医療事務の現役、そして経験者が語る医療事務の実際についてお話したいと思います。どんな仕事もきれいごとだけでは進まないということの典型のようなお話です。
医療事務の中でも最も大切な仕事、それはレセプト業務だと申し上げました。診療行為に対してその報酬をちゃんと請求しないことには病院の経営が成り立たなくなりますから、いわば病院の収入を左右する大きな意味合いを持っています。診療報酬は患者本人が最高3割を負担し、その残りは健康保険などから支払われます。患者本人の負担分は窓口で支払ってもらうので問題はありませんが、残りの分についてはちゃんとカルテとレセプトを揃えて請求して初めて支払われますから、漏れがあると支払われるべきものが支払われません。つまり取りこぼしてしまいます。これはカルテに記載されている診断結果に必要な診療行為に対して支払われるようになっているので、これらの辻褄はキチンと合っている必要があります。これらに整合性が取れない部分があったりすると、それも取りこぼしになってしまいます。分かりやすく言うと、胃腸などの消化器を検査する時に飲む造影剤(バリウム)を使ったという請求をしたとすると、病名のところに消化器系に何か問題があるような診断結果がないと「なぜ造影剤を使う必要があったのか」と指摘されて支払いが止まってしまいます。そのため、カルテとレセプトの辻褄がきちんと合っているかどうか、請求時に綿密なチェックを行います。
これを逆に考えるとどうでしょう。医療機関は少しでも多くの診療行為をして診療点数を稼ぐことによって診療報酬が増やそうとします。そのために必要のない診療行為をしたことにして診療報酬を請求する、その辻褄を合わせるために診断にはなかった病名を追加する...。これは筆者が話を聞いた医療事務経験者が実際に行っていたことです。病院の収入を増やすために水増し請求をすることに加担していたわけです。こう書くとものすごく悪いことのように感じますが、実際には大なり小なり多くの医療機関で行われていることです。かつて「やたらたくさんの薬を出す医院」というのが話題になったことがありますが、これも診療点数を稼ぐためにたくさんの病名を追加してたくさんの薬を出しているのです。
これらの業務は病院側の収入のためにやっていることであって、診療点数が増えることによって本人負担まで増える患者さんのための仕事とは言えない側面があります。これもひとつの現実なのかも知れません。

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